不動産投資ローンで必要な自己資金は?物件タイプや属性パターンごとに解説

不動産投資ローンを利用して購入する際、レバレッジを利かせるためにもできる限り自己資金を抑えたいと考える方も少なくないのではないでしょうか?

しかし、不動産投資ローンで必要となる自己資金は投資対象となる物件タイプや、融資を受ける人の属性によって大きな差が出てくることも少なくありません。

本記事では、金融機関が融資額を決定する際に、どのような要素を重視するのか、という観点から、物件タイプや属性ごとにパターン化して必要な自己資金について考えていきます。

目次

  1. 不動産投資ローンで必要な自己資金のパターン
  2. 不動産投資ローン、物件タイプごとの自己資金パターン
    2-1.区分マンション
    2-2.木造戸建て
    2-3.一棟アパート
  3. 不動産投資ローン、属性ごとの自己資金パターン
    3-1.平均的な30代サラリーマン
    3-2.大手企業サラリーマン、一部士業
  4. まとめ

1.不動産投資ローンで必要な自己資金のパターン

不動産投資ローンは、家賃収入を返済原資とする不動産賃貸業に対して融資がなされます。

金融機関は、対象不動産の収益性と担保性を審査、評価して、融資額を決定します。予想される家賃収入から維持管理費・修繕費などを控除しても無理なく返済できるかどうか、さらに、賃貸業が計画通りにうまくいかず返済が滞った場合、対象不動産を売却して融資額を回収できるかどうか、ということが審査の主眼となります。

対象不動産の収益性・担保性は、物件タイプによって異なるため、それに応じて必要な自己資金(頭金)を類推していきましょう。

家賃収入では返済できない場合に、「他の収入や資産でどれだけ補填できるか」という視点から、融資希望者の属性についても審査対象となります。属性に応じて必要なおおよその自己資金を検証することも大切です。

また、収益不動産を購入する際、頭金以外に、仲介手数料や登記費用、融資手数料などの諸費用がかかります。

これらの諸費用は、おおよそ物件価格の8%~10%程度(ただし、新築では仲介手数料3%程度がかからないケースがある)となります。これらの費用には融資を利用できず、自己資金を用意することになるため注意しましょう。

2.不動産投資ローン、物件タイプごとの自己資金パターン

不動産投資ローンでは、対象不動産の購入価格の2割~3割程度の自己資金(頭金)が必要となる傾向があります。

以下では、物件タイプごとに、収益性・担保性がどのように評価される傾向があるかという観点から、区分マンション、木造戸建て、一棟アパート・一棟マンションに分けて、必要な自己資金を考えていきます。

ただし、ここで考えるのは30代サラリーマンの平均的給与は約500万円を参考とし、平均的な属性の方が融資を引く場合の物件タイプごとの違いとなります。

属性評価によって、不動産投資ローンの限度額や年数、審査におけるハードなど諸条件が大きく異なるため、借主の属性次第で必要な自己資金に差が出てくることに注意しましょう。

2-1.区分マンション

中古区分マンションの購入価格の目安としては、1,000万円~3,000万円程度となることが多いでしょう。新築区分マンションでも、3,000万円~5,000万円程度の価格帯の物件が多くなります。

中古の区分マンションを融資利用で購入する際、2割~3割程度の自己資金が必要なことを考えると、中古であれば200万円~600万円程度の自己資金を必要とされるケースがあると予想されます。

区分マンションの場合は、建物の法定耐用年数が47年であることから、返済期間を長期間で取りやすく月々の返済額を抑えることが可能です。駅近で路線価の高い立地であれば、担保評価も高くなりやすくなります。

また、本人の属性が良く、収益性・担保性ともに高い区分マンションであれば、フルローンで自己資金は諸費用のみ、というケースも少なくありません。物件や本人の属性次第でフルローンが検討できるのは、価格帯の安い区分マンションの強みと言えます。

2-2.木造戸建て

中古木造戸建ての購入価格は、1,500万円~3,000万円程度が平均的であり中古区分マンションと同じ価格帯であると言えます。

一方、新築戸建てでは平均価格が3,000万円~6,000万円程度となり、自己資金についても区分マンションとほぼ変わらないと考えられますが、同じ価格帯の物件であれば、区分マンションよりも木造戸建ての方が自己資金は少なめで済むケースが多いといえます。

これは、土地が区分所有である区分マンションに対して、土地の全所有権のある戸建ての方が土地の価格割合が高く、金融機関の担保評価が高くなる傾向があるからです。

ただし、収益性という観点からは、木造建物の法定耐用年数が22年であり、返済期間が短期間になり、家賃収入を原資としたキャッシュフローが厳しくなります。地方の戸建ての場合は、土地の評価額も都心と比較して低く、さらにこの傾向が顕著になります。

また、木造戸建ての場合、担保性を重視するのか、収益性を重視するのか、という金融機関の姿勢によって必要な自己資金の金額は大きく異なると言えます。

評価の高い物件であればフルローンで自己資金なしというケースも検討できますが、収益性とのバランスを鑑みると、中古戸建てでは500万~1,000万程度の自己資金が必要になるケースが多いと言えます。

2-3.一棟アパート

新築一棟アパートの購入価格は、5,000万~1億円程度になると考えられます。2割~3割程度の自己資金とすると、1,000万~3,000万程度の自己資金は必要になるでしょう。

一棟アパートも土地の所有権があり担保性が高く、かつ、収益性も高いため、購入価格に対しての自己資金割合は、戸建てよりは少なめで済む可能性が高くなります。

ただし、木造アパートの法定耐用年数は22年となり、融資期間は伸びない可能性が高くなります。

アパートの担保性が高いとみなされれば、耐用年数を50年程度まで取ってその範囲で融資期間を設定する金融機関もあります。そうすると、返済のキャッシュ・フローに余裕ができるので、自己資金をさらに抑えられる可能性も生じてきます。

一方、中古一棟アパートの場合は建物の耐用年数が切れている物件も多く、土地の評価額内でしか融資を受けられないケースも少なくなくありません。融資限度額と物件価格に大きな乖離が出た場合には、必要となる自己資金も大きくなる可能性があります。

また、融資年数も10年~15年と短く設定される傾向があり、高い収益性を持つアパートでないと月々のキャッシュ・フローがマイナスとなることも考えられます。中古一棟アパート投資では、物件の担保力と収益性のバランスを鑑みることが重要と言えるでしょう。

3.不動産投資ローン、属性ごとの自己資金パターン

不動産投資ローンは、対象不動産の収益性・担保性を補う、高収入、社会的信用の高さ、資産背景があれば、貸し倒れリスクが低いと判断され、貸し出されている実態があります。

高属性とされる収入の目安としては、大手企業勤続5年以上かつ年収1,000万円以上、社会的信用が高いとされる職業として、医師・弁護士などの士業が挙げられます。

以下では、平均的な30代サラリーマンと、高属性とされる人とに分けて、属性ごとの自己資金パターンを考えていきます。

3-1.平均的な30代サラリーマン

国税庁の平成30年分民間給与実態調査によると、30代サラリーマンの平均的給与は約500万円となっています。一方、金融機関による属性評価で高い評価を受けるサラリーマンの年収は1,000万円以上というのが一つの目安となります。

平均的な30代サラリーマンでは、属性によって必要な自己資金割合が減少する、というケースは稀と言えるでしょう。

年収の他、勤続年数や勤め先企業の規模、過去の不動産賃貸業の実績などが評価対象となります。賃貸業を長期間継続しており、かつ利益も出して実績を残しているような兼業大家であれば、それが評価され、比較的少額の一棟アパートなどでフルローンを引ける場合もあるでしょう。

3-2.大手企業サラリーマン、一部士業

大手企業勤続5年以上かつ年収1,000万円以上、あるいは、医師・弁護士などの一部士業、に該当する人は、属性が高いとみなされ、属性によって物件の担保性・収益性をカバーできる可能性が高くなります。

融資総額は年収の10倍以内(事業を運営している場合、利益の10倍以内)というのが目安となり、その範囲であれば、自己資金を拠出することなく、フルローンを引ける可能性があると考えられます。

まとめ

不動産投資ローンで必要となる自己資金は、借りる人の属性や物件タイプによって金融機関の担保評価が異なります。また、実際に融資評価を行う金融機関の方針や支店長の判断、時期によって差が出てくることも少なくありません。

これまでの金融機関の担保評価の方針では、土地の担保評価を重視する傾向があるため、価格に対する土地の割合の高い、一戸建てや一棟アパートは自己資金割合を抑えられる可能性が高いと言えます。

また、高属性の人であれば、返済力の高さを評価され、年収の10倍程度以内までなら自己資金を抑えて融資を受けられる可能性があると言えるでしょう。

不動産投資で必要な自己資金を判断する際は、まずは自身の属性からどの程度の融資が受けられるのかを判断し、投資先の物件ごとに検証してみましょう。

Source: 仮想通貨の最新情報BTCN | ビットコインニュース
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