不動産売却で社会保険料・介護保険料が上がるケースは?譲渡所得の解説
不動産売却で利益が生じた場合、利益は譲渡所得として扱われます。譲渡所得は分離課税が適用されるため、不動産売却の場合は不動産の所有期間に応じた独自の所得税や住民税の税率が適用されます。
このように不動産を売却する際は、所得税や住民税の税負担が生じる可能性がありますが、社会保険料や介護保険料の保険料に影響が生じることはないのでしょうか?
この記事では、不動産売却で社会保険料・介護保険料が上がるパターンと譲渡所得について解説します。
目次
- 社会保険料・介護保険料が上がるかは保険の種類で異なる
1-1.健康保険
1-2.共済保険
1-3.国民健康保険 - 国民健康保険の加入者が検討したい譲渡所得税の控除
2-1.収容交換等のために土地等を譲渡
2-2.特定土地区画整理事業や被災地の防災集団移転促進事業等のために土地を譲渡
2-3.特定住宅地造成事業等のために土地等を譲渡
2-4.農地保有の合理化等のために農地等を売却
2-5.居住用財産の譲渡 - まとめ
1.社会保険料・介護保険料が上がるかは保険の種類で異なる
不動産の売却で利益が生じると、その年の確定申告で譲渡所得を計上することになります。給与所得や不動産所得といった所得は総合課税が適用されますが、譲渡所得は分離課税が適用されます。
分離課税は総合課税のように所得が増えれば税率が高くなるという仕組みではなく、不動産の所有期間に応じて独自の税率が定められています。
不動産の売却によって利益が生じると、所得税や住民税の負担が生じますが、社会保険料や介護保険料の保険料が上がらないか気になっている人も多いのではないでしょうか?
不動産売却によって社会保険料や介護保険料の負担が大きくなるかどうかは、譲渡所得の対象者がどのような保険に加入しているかによって異なります。健康保険、共済保険、国民健康保険の3つの違いについて詳しく見ていきましょう。
1-1.健康保険
健康保険とは、会社員のような会社に雇用されている人が加入する保険です。健康保険には、中小企業の従業員が多く加入している協会けんぽと大手企業の従業員が多く加入している組合健保の2種類あります。
協会けんぽと組合健保の加入者が支払う社会保険料と介護保険料の算出方法は同じです。標準報酬月額と呼ばれる会社から支払われる給与が基準となっており、譲渡所得は給与に含まれないため、不動産の売却で利益が生じても保険料が高くなることはありません。
1-2.共済保険
共済保険とは、公務員や社会福祉法人といった団体に雇用されている職員などが加入する保険です。
共済保険加入者が支払う社会保険料と介護保険料も標準報酬月額が基準となっています。譲渡所得は給与に含まれないため、不動産を売却して利益が生じた場合に保険料が高くなることはありません。
1-3.国民健康保険
国民健康保険とは、自営業を行っている人や無職の人などが加入する保険です。
健康保険や共済保険には、標準報酬月額と呼ばれる社会保険料や介護保険料の算出基準がありますが、自営業を行っている人や無職の人にはそのような基準がありません。
国民健康保険加入者が支払う社会保険料や介護保険料は世帯の総所得が基準となっており、総所得には譲渡所得も含まれます。そのため、人によっては翌年の保険料が一時的に上がる可能性があるという点に注意が必要です。
2.国民健康保険の加入者が検討したい譲渡所得税の控除
国民健康保険の加入者は、不動産の売却で利益が生じた場合に社会保険料や介護保険料が上がる可能性がありますが、利益が出た全ての人が上がるというわけではありません。
社会保険料や介護保険料の算定基準となる譲渡所得は控除が適用された後の金額となります。そのため、控除が適用されるかどうかが大きなポイントです。
不動産売却時に適用の可能性がある控除には、以下の6つが挙げられます。
- 収容交換等のために土地等を譲渡
- 特定土地区画整理事業や被災地の防災集団移転促進事業等のために土地を譲渡
- 特定住宅地造成事業等のために土地等を譲渡
- 農地保有の合理化等のために農地等を売却
- 居住用財産の譲渡
それぞれの控除を詳しく見ていきましょう。
2-1.収容交換等のために土地等を譲渡
公共事業のために不動産を売却する場合、収益交換等のために土地等を譲渡という条件に該当するため、最高5,000万円までの控除を受けることが可能です。
買取の申し出があってから6ヶ月を経過する日までに売却するなどの条件を満たす必要はありますが、条件を満たせば5,000万円までの売却利益を控除できるため、社会保険料や介護保険料が上がる可能性は低いと言えるでしょう。
2-2.特定土地区画整理事業や被災地の防災集団移転促進事業等のために土地を譲渡
再開発や被災リスクを抑えるといった理由で国や公共団体から不動産の譲渡を依頼されて売却した場合、税控除の特例が適用できる可能性があります。
事例として、東日本大震災における「従前お住まいの土地等を売却した場合の特例」が適用された場合、最高2,000万円の控除を受けることが可能となっています。
2-3.特定住宅地造成事業等のために土地等を譲渡
土地の区画整理が行うという理由によって、国や公共団体から不動産の譲渡を依頼されて売却した場合、特定住宅地造成事業等のために土地等を譲渡という条件に該当します。
控除を受けられる不動産は都市計画法や土地区画整理法に関する場合に限られているので多くありませんが、最高1,500万円の控除を受けられる可能性があります。
2-4.農地保有の合理化等のために農地等を売却
農地を売却した場合、一定の条件を満たしていれば農地保有の合理化等のために農地等を売却という条件に該当します。
一定の条件とは、農地保有合理化事業に則りながら不動産の売却が行われていることです。条件に該当していれば、最高800万円の控除を受けられます。
2-5.居住用財産の譲渡
売却したのが居住用不動産だった場合、居住用財産の譲渡という条件に該当するため、最高3,000万円の控除を受けられます。
控除の適用を受けるためには、住まなくなってから3年以内、売主と買主の関係が夫婦や血縁関係でないなどの条件を満たす必要があります。利益が3,000万円までであれば社会保険料や介護保険料が上がる可能性は低いと言えるでしょう。
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まとめ
不動産を売却して利益が生じると、確定申告の際に譲渡所得を計上しなくてはなりません。そのため、不動産を売却して利益が生じた場合は、所得税と住民税を支払う必要があります。
「所得税・住民税を支払わなくてはならないということは社会保険料・介護保険料の負担も増えるのでは?」と思った人もいるかもしれませんが、どのような保険に加入しているかで異なります。
不動産の売却で利益が生じて社会保険料や介護保険料が上がるのは、基本的には国民健康保険の加入者に限られています。国民健康保険へ加入している場合はどのような控除を受けられるのかを事前に確認しておきましょう。
Source: 仮想通貨の最新情報BTCN | ビットコインニュース
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