取扱銘柄数から考える暗号資産取引所の利用方法とは?
証券会社を経て、暗号資産(仮想通貨)取引所でトレーディング業務に従事した後、現在は独立して仮想通貨取引プラットフォームのアドバイザリーや、コンテンツ提供事業を運営する中島翔氏のコラムを公開します。
目次
日本では多くの暗号資産取引所が金融庁のライセンスを取得して運営しており、それぞれ取扱い商品や取引ツール、その他のオプションサービスなどで差別化に努めています。ここでは暗号資産取引所のターゲットとなる顧客層について、各社の取り扱い銘柄から分析したいと思います。
①暗号資産取引所の販売所とは?
上図はコインチェック(Coincheck)の販売所取引の購入画面です。数量を入れるだけでレートが表示され、円換算の合計金額が出てくるため、初心者にとっても利用しやすくなっています。
そもそも販売所というのは、暗号資産取引所を相手に暗号資産を売買できるサービスです。暗号資産取引所が在庫を抱え、「この金額(売値)で取引します」と提示しています。同時に、暗号資産取引所が顧客の資産を「この金額(買値)で取引します」と提示しています。
販売所は相場状況に応じて、買値と売値の差(スプレッド)が広がる傾向があり、ユーザーとしてはコストが広がるので注意する必要があります。中には「スプレッドに実質的な手数料を含めている」と明記している企業もあります。
②販売所の取扱銘柄
ここでは、コインチェック、GMOコイン、DMM Bitcoinの3社の「販売所」サービスの取扱銘柄をチェックしてみたいと思います。
コインチェック | GMOコイン | DMM Bitcoin | |
取扱銘柄数 | 14種類 | 9種類 | 3種類 |
このようにしてみると、コインチェックの銘柄数の豊富さが際立っています。コインチェックは14種類の暗号資産を取り扱っています。ユーザーはコインチェックの販売所で購入した暗号資産を、サードパーティ製のウォレットに送付したり、dApps(分散型アプリケーション)で使用することもできます。
コインチェックは暗号資産の普及に注力しており、販売所以外にも「暗号資産つみたてサービス」や「コインチェックでんき」、「コインチェックガス」といった多彩なサービスを有しています。こうして見ると、コインチェックは広範なユーザー層をターゲットに、暗号資産を実際に使用する機会を提供していると言えます。
一方、GMOコインとDMM Bitcoinはどちらもグループ企業にFX会社を有しています。どちらもFX取引でのノウハウを活かしているため、チャート分析機能や取引方法の多彩さ、そしてアプリのユーザビリティが高いと評判です。
GMOコインとDMM Bitcoinの販売所の取り扱い銘柄を見てみると、ターゲットは微妙に異なっていることがわかります。
上図はGMOコインの販売所です。GMOコインは販売所の取扱銘柄数を積極的に増やしており、現在9種類の暗号資産を取り扱っています。一方、DMM Bitcoinは販売所の取扱銘柄数が3種類となっています。しかし、DMM Bitcoinは、「レバレッジ取引の銘柄数」が多いことが特徴となっています。
レバレッジ取引とは、証拠金を預けて資産の数倍のポジションを保有し、ハイリターンを狙う取引方法です。DMM Bitcoinでは最大4倍までレバレッジ取引が可能となっています。仮に100万円入金した場合に400万円分までポジションを保有することができ、10%値動きが生じると評価額は40%動くことを意味しています。
上図はDMM Bitcoinの取引画面です。DMM Bitcoinはレバレッジ取引で取扱っている暗号資産が11種類あり、ビットコイン建てを含めた銘柄の組み合わせは全部で16種類と国内最多となっています。レバレッジ取引を行う上で、DMM Bitcoinは外せない暗号資産取引所と言えます。
なお、GMOコインもレバレッジ取引(暗号資産FX)を提供しており、取り扱い銘柄数は9種類となっています。一方、コインチェックはレバレッジ取引を提供していません。このように暗号資産取引所と言っても特徴が異なることを理解しておきましょう。自分がどのようなトレードを行いたいのか?によって、選択する暗号資産取引所が変わってきます。
レバレッジ取引で短期的にトレードしたい方はDMM Bitcoinであり、長期的な資産運用であればコインチェックとなります。どちらも一つの取引所で行いたい場合はGMOコインが適しています。
③なぜ販売所の銘柄数に差が出るのか
ここまで読まれた方は「なぜ銘柄数を増やさないんだろう?」と疑問に思われた方もいるのでは無いかと思います。取引所にとって、現物の暗号資産を安全に保管するためのセキュリティ上のコストがネックとなります。取扱銘柄を増やせば増やすほど、コストがかかるという事情があります。
一方、レバレッジ(FX)取引の場合、暗号資産の価格に基づいてポジションを売買しますが、決済時点に利益・損失分の日本円のみが受渡す「差金決済取引」となります。実際に暗号資産の所有権が動くわけでは無いということです。
暗号資産取引所は提供しているレバレッジ取引の原資産を保管する必要がありません。セキュリティ面のコストを軽減できるので、銘柄数を比較的追加し易いといえます。
暗号資産取引所は顧客資産を保全する義務があるため、現物資産の保管には相当のコストとリスクが伴うのです。
④暗号資産取引所の選び方
このように取扱銘柄数だけ見てもターゲットとしている顧客の種類が異なることがわかると思います。ユーザーは、自分の取引スタイルや利用用途にあった暗号資産取引所を選択することが重要です。
今回は記載していませんが暗号資産の出庫の頻度、日本円の出金のタイミング等様々に異なるポイントがあるため、このような点も含めて調べていただけると良いと思います。
また暗号資産取引所の口座開設においてコストは一切かかりません。そのためまずは口座開設を行ってみるというスタンスでいいでしょう。利用してから色々見えてくるものがありますので、まずは使ってみてから判断するということが大事です。
暗号資産はとても便利なものであり資産運用のツールとしてもとても有益な投資対象なので、利用することをおすすめします。
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Source: 仮想通貨の最新情報BTCN | ビットコインニュース
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