住宅の不動産売買契約が無効となるケースは?5つの事例と対処法を解説

不動産の売買では、「売買契約を締結すれば安心」と思っている人もいるかもしれませんが、売買契約を締結しても契約が無効になるケースがあります。

売買契約を成立させるには、どのようなケースで売買契約が無効となるのか、事例と対処法を事前に把握した上で売買契約の締結に臨むことが重要です。

この記事では、住宅の売買契約が無効となる5つの事例と対処法について解説します。

目次

  1. 住宅の売買契約が無効となる5つの事例と対処法
    1-1.手付放棄による解除
    1-2.滅失・毀損による解除
    1-3.契約違反による解除
    1-4.ローン特約による解除
    1-5.契約不適合責任による解除
  2. まとめ

1.住宅の売買契約が無効となる5つの事例と対処法

不動産の売買取引において、売買契約締結後でも売買契約が無効になる可能性はゼロではありません。トラブルを未然に防ぐためにも、売買契約が無効となるケースを把握した上で売買契約の締結に臨むことが重要です。

売買契約が無効となる事例として以下の5つが挙げられます。

  • 手付放棄による解除
  • 滅失・毀損による解除
  • 契約違反による解除
  • ローン特約による解除
  • 契約不適合責任による解除

それぞれの事例と対処法について詳しく見ていきましょう。

1-1.手付放棄による解除

不動産の売買契約を締結する際、取引慣例上、買主は手付金を売主に支払います。手付金とは売買契約時に買主が事前に支払う頭金のことで、残代金は物件の引き渡し日に支払われ、不動産の移転登記が行われます。

解除を申し出るのが買主の場合は手付金の放棄、売主の場合には手付金の倍返しで契約を解除できます。

しかし、手付放棄による契約の解除はいつでもできるわけではありません。解除できるのは「相手方が契約の履行に着手するまで」もしくは、「売買契約書に記されている手付解除が出来る期限まで」と制限が設けられています。

履行の着手とは、相手方が買主の場合は残代金の支払い、売主の場合は所有権の移転登記に着手したタイミングとなります。相手方が履行に着手するまで、手付放棄による解除を申し出られて売買契約が無効になる可能性があるので注意が必要です。

手付放棄による解除を防ぐには、手付金を高めに設定するのがポイントです。そうすれば、手付金を放棄した場合の費用負担が大きくなるので解除のリスクが低くなります。

しかし、高めに設定した場合は費用負担が大きくなって原因で購入希望者が少なくなる可能性もある点には注意が必要です、

1-2.滅失・毀損による解除

売買契約の締結の際は、重要事項の説明や売買契約書の署名・押印、手付金の支払いなどが行われます。残代金の支払いや物件の引き渡しは、売買契約の締結の日から約1ヶ月後に設定されていることが多いでしょう。

この売買契約の締結から引き渡しまでの1ヶ月間、火災や台風といった災害の影響を受けて、自宅が滅失または毀損する可能性があります。

売買契約後に対象物件が滅失または毀損して損失を負担するのが買主だとすると、買主は契約書に記されている目的を達成できません。そのため、引き渡しまでに自宅が滅失または毀損した場合、買主は契約が解除することが可能です。

しかし、売買契約締結時に滅失・毀損した場合に誰が損失を負担するか売買契約書に明記されている場合、滅失・既存の理由で契約解除が出来ない可能性もあります。契約書の内容を事前に確認しておくことが重要と言えるでしょう。

1-3.契約違反による解除

契約違反による解除とは、買主または売主の債務不履行を理由に契約を解除することです。例えば、買主が残代金を支払わない、売主が物件を引き渡さないなどです。

債務不履行に該当しても、すぐに契約を解除できるわけではありません。「○月○日までに残代金を支払う」「○月○日までに物件を引き渡す」など、履行の期日を設定して相手方に催告します。

催告しても期日までに相手方が応じなかった場合、強制履行または違約金を支払うことで解除を認めるなどの手段を講じることとなります。

安易に契約違反による解除に持ち込ませないためにも、売買契約の相手方に問題がないか事前にしっかり確認する、違約金を高く設定するなど対策を練っておきましょう。

1-4.ローン特約による解除

買主が現金ではなく金融機関の融資を受けて物件購入をする場合、売買契約を締結してから引き渡しまでに住宅ローンの本審査を受けます。本審査に通らなかった場合、売主に履行を請求されても購入資金の無い買主は応じることができません。

ローン特約はそのような状況を避けるために売買契約書に盛り込む特約です。ローン特約を契約書に記載しておく事で、住宅ローンの本審査に通らなかった場合、売主に履行を請求されても本審査に通らなかったことを理由に買主が契約を解除することが可能です。

ローン特約による解除は、手付放棄による解除とは異なり、解除しても手付金を放棄する、手付金を倍返しするなどのペナルティが科されません。

ローン特約による解除の悪用を未然に防ぐには、売買契約書のローン特約に適用条件を設けておくことが重要です。例えば、返済期間を短く設定しない、1社だけでなく複数の金融機関に申し込むなどです。

このように適用条件を設けておけば、ローン特約による解除を悪用する買主を避けることにつながります。

1-5.契約不適合責任による解除

売買契約を締結した不動産が柱や梁といった構造上主要な部分の腐食、シロアリの被害が生じているなどの物理的瑕疵、近くに墓地や火葬場といった嫌悪施設があるなどの心理的瑕疵を有しているケースがあります。

このようなケースでは、買主に契約不適合責任による解除を請求される可能性があるので注意が必要です。しかし、必ず解除を請求されるわけではありません。

瑕疵が修繕で対応できるケースでは追完請求、減額で対応できるケースでは代金減額請求、どちらも不可能なケースでは損害賠償請求、目的を達成できないケースでは解除と瑕疵の状況に応じて異なります。

契約書に事前に記載していれば契約不適合責任は発生しませんが、物理的瑕疵は気づかないまま売買契約を締結して解除に至る可能性が高いので注意が必要です。

【関連記事】売主が不利に?不動産売却の契約不適合責任(瑕疵担保責任)を解説

契約不適合責任による解除のリスクを抑える方法として、ホームインスペクションという住宅診断を受けることが挙げられます。ホームインスペクションでは、住宅診断の専門家が目視や機材を使って建物の劣化状況を判断してくれるため、契約不適合責任による解除のリスクを抑えられます。

また、住宅診断を受けた物件は、物件に万が一瑕疵があって追完請求を買主に請求されても保険金で補うことが可能です。

2020年4月1日の民法改正で、瑕疵担保責任から契約不適合責任に変更になったことで、売主の責任が大きくなったと言えます。売却後のリスクを抑えるためにも、万が一に備えておくことが重要と言えるでしょう。

【関連記事】家の売却、住宅診断(ホームインスペクション)のメリット・デメリットは?

まとめ

売買契約を締結しても、必ずしも物件の引き渡しや残代金の支払いに至るとは限りません。何らかのトラブルによって売買契約が無効となるケースもあるので注意が必要です。

無効になるリスクを抑えながら物件の引き渡しまたは残代金の引き渡しに至らせるには、どのようなケースで売買契約が無効になるのか、無効にならせないための対処法を事前に把握しておくことが重要です。

この記事には、売買契約が無効となる5つの事例と対処法をまとめています。売買契約の締結前に、解除条件についてもう一度確認してみましょう。

Source: 仮想通貨の最新情報BTCN | ビットコインニュース
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