不動産クラウドファンディングの事業者が倒産したらどうなる?リスク回避のポイントも
不動産クラウドファンディングに投資する際のリスクの一つに、運営会社の倒産リスクがあります。
不動産クラウドファンディングでは投資家から資金を集めて、運営会社が不動産を購入してその利益を投資家に分配します。しかし、事業者の倒産が発生すると投資元本が引き出せなくなったり、分配金の支払いが大幅に遅れてしまう可能性があるのです。
本記事では、不動産クラウドファンディングの運営会社の倒産時のリスク、またリスク回避のポイントについてお伝えしていきます。
目次
- 不動産投資型クラウドファンディング事業者の倒産で起こること
1-1.運営会社との連絡不全
1-2.預けている資金の引き出しができない
1-3.分配金が支払われない
1-4.運用不動産が売却されても出資金が返ってこない - 不動産クラウドファンディングの倒産リスクを避けるには
2-1.会社の財務状況をチェックする
2-2.上場企業など倒産しにくい会社を選ぶ
2-3.特別目的会社を導入している事業者を選ぶ - 倒産リスクの低い不動産クラウドファンディング
3-1.CREAL(クリアル)
3-2.LEVECHY(レベチー)
3-3.Rimple(リンプル) - まとめ
1.不動産投資型クラウドファンディング事業者の倒産で起こること
まず、不動産投資型クラウドファンディングの事業者が倒産するとどのようなことが起こるのか、その内容をピックアップします。
1-1.運営会社との連絡不全
不動産クラウドファンディングの運営会社の倒産で、第一に考えられるのが運営会社との連絡が不全になることです。倒産すると社員の出勤などが行われなくなり、またパソコンなどの備品が資産として差し押さえの対象となる可能性もあるため、満足に連絡が取れなくなる可能性があります。
1-2.預けている資金の引き出しができない
次に考えられるのは、投資家の個人口座にある資金の引き出しができなくなるリスクがあります。投資家の出資金と会社の運営資金を分別して管理している会社であれば投資家の資金は差し押さえの対象になりませんが、資産が分別管理されていない場合、投資家の資金も運営会社の資産として債務整理の際に差し押さえの対象となる可能性があります。
なお、過去には融資型クラウドファンディングで企業の財産と出資者の資金の区別がつかないケースが発生し、行政処分を受けたケースがあります。
2023年時点において分別管理は不動産クラウドファンディング事業者に義務付けられており、分別は帳簿上で行うようなものではなく、専用の銀行口座を設置するなど、「実効性のあるレベルでの明確な区別」が必要とされています。
1-3.分配金が支払われない
不動産クラウドファンディングの運営会社が倒産すると、分配金が支払われなくなる可能性も高いといえるでしょう。運営している不動産は不動産会社の所有物であり、倒産時の債務整理の対象となるので、処分されてしまうからです。
運営不動産の速やかな売却が行われれば、家賃収入が入ってこなくなるので投資家に対しての分配金がなくなってしまう可能性も高く、売却して得られた資金も投資家に返済されるのではなく債権者に返済されてしまう可能性もあります。
1-4.運用不動産が売却されても出資金が返ってこない
不動産クラウドファンディングの運営会社が倒産すると、連絡が取れづらくなり分配金の未支払いや自分の口座の資金が引き立せなくなる可能性があります。
そして不動産は不動産会社の所有物であるため債務整理の対象となり、売却された資金は債権者のものとなってしまう可能性があります。そのため運用期間が終われば投資家口座に振り込まれるはずの運営不動産の売却金も返ってこなくなる可能性があります。
2.不動産クラウドファンディングの倒産リスクを避けるには
では、不動産クラウドファンディングの事業者の倒産リスクを避けるためには、どういったポイントをチェックし、対策すれば良いのか見ていきましょう。
2-1.会社の財務状況をチェックする
1つ目のポイントとしては、運営不動産会社の財務状況をチェックすることです。全ての不動産クラウドファンディング会社の運営会社が財務状況を公開しているわけでありませんが、決算情報などを公開している会社であれば、その会社が現在黒字営業を続けているのか、会社に十分な資産があるのかを判断することが可能です。
決算の資料などを見て、毎期黒字決算を続けており会社の運営資金に十分な余裕があれば、1年など短い期間中に倒産するリスクは低いと言えるでしょう。
2-2.上場企業など倒産しにくい会社を選ぶ
不動産クラウドファンディングの運営会社の中には、株式上場している会社も多くあります。上場企業は決算を公開する義務があり、また外部の監査を受ける義務もあります。そのため、公開されている決算の内容は信用できる数字であり、その会社が現在どのような状況にあるのかを把握しやすくなっています。
また会社の規模で見ても、社員数は公開されており規模が大きい会社も多い傾向にあるので、倒産してしまう可能性は非上場の不動産会社よりも低いと言えるでしょう。
上場している企業が運営する不動産クラウドファンディングを選ぶことは、倒産リスク対策の一つです。
2-3.特別目的会社を導入している事業者を選ぶ
不動産クラウドファンディングの運用スキームの中で、特別目的会社(SPC)を導入しているサービスを選ぶことも倒産リスクの対策となります。
不動産クラウドファンディングでSPCを介在させるには、不特法の特例事業(第3号・4号)の登録が必要になります。運用不動産はSPCの資産となり、仮に不動産投資型クラウドファンディングサービス運営の不動産会社が倒産しても、債権回収の対象となりません。そのため投資家の損失リスクは小さくなるのです。
SPCを不動産クラウドファンディングの運用スキームに介在させることで、投資家の資金で購入した不動産は運営不動産会社の所有ではなく、SPCの所有物となります。そのため仮に事業者が倒産しても債権者による資産回収の対象とならず、不動産の運営に関わるリスクに限定できるというメリットがあります。
3.倒産リスクの低い不動産クラウドファンディング
不動産クラウドファンディングの中でも、倒産リスクが低いサービスや、倒産リスク対策を行っているサービスをピックアップしてみましょう。
3-1.CREAL(クリアル)
「CREAL(クリアル)」は、東証グロース上場企業のクリアル株式会社が運営する不動産投資型クラウドファンディングで、投資のしやすさが大きな特徴でありメリットです。また、ホテルなどの宿泊施設や保育施設などに加えて、区分マンション案件や一棟マンション案件も扱っているので投資先の分散が可能です。
クリアル株式会社の決算の数字を見ると、2023年3月期の決算短信では5億4700万円の営業利益が出ており、自己資本比率も伸びています。短期間で倒産するリスクは低いと考えられます。
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3-2.LEVECHY(レベチー)
LEVECHY(レベチー)は資産形成において「レベル違いな高利回り」と「レベル違いな安全性」を提供することがコンセプトの不動産クラウドファンディングです。
LEVECHYの運営会社であるジャパン・プロパティーズ株式会社は未上場企業ですが、レベチーは不動産クラウドファンディングの運営に必要な不動産特定共同事業法の第3号・第4号の事業登録を行っています。そのため不動産クラウドファンディングを運営する際に、特別目的会社(SPC)を運用スキームに介在させることを可能としています。
運用不動産は不動産会社の所有ではなくSPCの所有物となり、例え倒産が起きてもその不動産の運用益や売却資金が投資家に返済されるようになっています。運用スキームの点から倒産リスクの軽減を図っています。
3-3.Rimple(リンプル)
Rimple(リンプル)は、東証プライム上場企業であるプロパティエージェントが運営する不動産投資型クラウドファンディングです。都心のワンルームマンションを中心に案件を組成していること、東証プライム上場企業が運営していることなどが大きな特徴として挙げられます。
プロパティエージェントは20期連続で増収であり、「2024年3月期 第1四半期決算短信」を見ると、17億5200万円の経常利益と105億4400万円の純資産(自己資本比率:27.0%)という実績が残っています。直近の決算情報から見て、短期的に倒産してしまうリスクは低いと言えるでしょう。
なお、運営会社が不動産投資会社であるため他人資本の割合が大きく、アセットが不動産に大きく偏っている点には注意が必要です。不動産価格が大きく下がる経済動向になった時にはリスクが増大する可能性もあることに留意しておきましょう。
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まとめ
不動産クラウドファンディングでは、運営会社が倒産してしまうと、運用不動産の売却金や分配金が投資家に戻ってくる可能性が低くなるケースもあります。
倒産リスクへの対策としては、不動産クラウドファンディングの運営会社が上場している場合には決算情報を確認する、もしくはSPC(特別目的会社)のスキームを構築しているサービスなどへの投資が検討できます。
また、案件ごとだけでなく、一つのサービスに資金を集中させない分散投資も効果的です。複数の会社に口座を開設し、各社の状況や各サービスの特徴を調べてみると良いでしょう。
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